ドローン空撮は、最近あらゆるメディアで使用されています。「自社でも取り入れてみたい!」と思う人も多いかもしれませんが、気になるのは撮影費用でしょう。この記事では、ドローン撮影に必要な費用について解説しますので、参考にしてみてください。
ドローン撮影の費用は写真撮影や映像制作など、その用途によって変わります。また、付帯するオプションによっても異なるため、費用について分かりづらいと感じる方も少なくありません。
そこで本記事では、ドローン撮影の平均費用を費目や用途、オプションに分けて解説します。また、依頼時に注意すべきポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【費目別】ドローン撮影の平均費用
ドローン撮影の平均費用を費目ごとに分けると、以下の4つが挙げられます。
- 基本料金の相場
- 機材費の相場
- フライト料金の相場
- 人件費の相場
ドローン撮影は、基本料金に合わせて諸経費を含んだ金額が必要です。ここではそれぞれの費用の相場について解説します。
1.基本料金の相場
基本料金の相場:10,000円〜50,000円程度
基本料金には、撮影計画の作成、ドローン撮影に必要な許可申請や保険料などが含まれます。
あくまで基本料金となっており、機体変更やスタッフの増員が必要な撮影であるほど費用は増加します。事前にどこまでの範囲が基本料金に含まれているのかを確認しましょう。
2.機材費の相場
機材費の相場:30,000円〜150,000円程度
機材費には、ドローン本体やカメラ、バッテリーや充電器、記録媒体などが含まれます。撮影する場所や撮影内容によっては、特殊な機材が必要となり、その場合は費用が高くなることがあります。撮影に使うドローンごとに機材費は変動します。よく使われるのは以下の3種類の機体です。
- 小型ドローン「DJI Mini 3 Pro」
- 中型ドローン「DJI Mavic 3 Pro」
- 大型ドローン「DJI Inspire 3」
多くの制作会社では、これらのモデルを使用して空撮します。より画質を高めたい場合は、また最近では超小型のマイクロドローン撮影など主流になっており、自作機を開発から手がけ、案件ごとに改造機を提案する空撮会社もあります。ここではよく使われるドローンの特徴について解説しますので、チェックしておきましょう。
小型ドローン「DJI MINI 3 PRO」
小型軽量で持ち運びに便利:重量は約 245 g で、持ち運びやすく、小型であるため、場所を選ばず簡単に飛行させることができます。また、4Kカメラ搭載で4K/30fpsの高解像度で撮影ができ、3軸ジンバルにより、安定した撮影が可能です。
しかし、小型・軽量モデルであるため、突風や埃には弱いことが弱点といえます。強い風に流されてしまうことや、砂埃が原因となりモータートラブルにつながるおそれがあるでしょう。
中型ドローン「DJI MAVIC 3 PRO」
大型ドローン「DJI INSPIRE 3」
高性能カメラや強力なモーター、高度制御技術を搭載しており、優れた飛行性能と高品質な映像が撮影でいます。 高速移動にも対応する安定性に優れた飛行性能が特徴的で、多彩な撮影シーンに対応できます。 カメラには、最大8Kの映像を撮影可能なセンサーを搭載しており、高画質かつ高精度な映像を撮影できます。さらに、HDR対応により、輝度や色の情報をより正確に再現することができます。
一般的に販売されているドローンとしてはトップクラスの性能を有しているため、高額なモデルです。しかし、性能の高さから高い人気があります。
3.フライト料金の相場
フライト料金の相場:5,000円〜30,000円程度
フライト料金には、ドローンを飛ばす時間や距離、撮影するエリアの広さや難易度などが影響します。一般的には、15分〜30分程度のフライトが基本となり、それ以上の時間が必要な場合は、追加料金が発生することがあります。
4.人件費の相場
人件費の相場:30,000円〜100,000円程度
人件費には、ドローンパイロットの作業時間や技術レベル、スキルや経験、撮影現場の移動費用などが含まれます。人件費は、業者やドローンパイロットの資格や実績によっても大きく異なります。
【用途別】ドローン撮影の平均費用
ドローン撮影の平均費用を用途別に分けると、以下の3つに分けられます。
- 写真撮影の相場
- 動画撮影の相場
- 土地測量の相場
ドローンを使用した写真・動画撮影や測量など、依頼する内容ごとの相場もチェックしておきましょう。ここでは用途別に必要となる平均費用について解説します。
1.写真撮影の相場
写真撮影を依頼した場合の相場は、4〜5万円です。一般的な内容としては、以下のようなプランが提供されています。
- 飛行回数:1回
- カット数:5〜20カット
- 時間:30分〜1時間
- 品質:1,200万画素のRAW・JPEGデータ
写真撮影はカメラが軽量であることが多く、使用するドローンも小型で済むため、比較的リーズナブルな価格で依頼できます。
2.動画撮影の相場
動画撮影を依頼した場合の相場は、6〜9万円です。一般的な内容としては、以下のようなプランが提供されています。
- 飛行回数:1回
- カット数:5カット程度
- 稼働時間:30〜180分
- 品質:フルHDもしくは4Kの動画データ
大型のドローンを使用するため、写真撮影よりも費用がかかる傾向にあります。また、多くの場合で2人以上のスタッフが担当するため、人件費が2人分必要となることも高額になる要因です。
3.土地測量の相場
土地測量を依頼した場合の相場は、15〜300万円と幅があります。それぞれの相場は以下の通りです。
- 撮影用のドローンを利用:1日あたり15万円
- 3D測量:1日あたり100万円
- レーザー測量:1日あたり300万円
このように使用する機種によって相場が大きく異なります。また、機種の選択は現地を視察してから検討されることが多く、撮影条件が定まらない限り正確に決めることは難しいようです。そのため、複数回打ち合わせを重ねて、条件と金額をすり合わせる必要があります。
【オプション別】ドローン撮影の平均費用
ドローン撮影にはオプションを追加が必要となることがあります。主に利用できるオプションと相場には以下の5つが挙げられます。
- ロケハンの相場
- 天候日程調整費の相場
- 飛行調査・飛行経路設計の相場
- 許可申請の相場
- 撮影延長料金の相場
ここではそれぞれの平均費用を分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.ロケハンの相場
ドローン空撮するために現地で撮影可能か、許可の有無などを調べるためにロケハンを行う必要がある場合に必要な費用です。ロケハン費用は距離や場所また、テスト撮影など機材が必要な場合など状況に応じて応じて差がありますが、5〜15万円が相場とされています。
ロケハンは、スムーズな撮影や成果物を公開したあとのトラブルを防ぐために欠かせない工程です。必要なコストだと理解して商談に臨みましょう。
2.天候日程調整費の相場
ドローン空撮は天候がよく、風の影響が少ない日でなければ行えません。天気はコントロールできないため、撮影日を調整することで対応する必要があります。
日程調整には費用がかかることもあり、契約前に確認しておきましょう。日程調整費は制作会社によってその有無や取り決めが異なるため、個別に問い合わせるようにしてください。
3.飛行調査・飛行経路設計の相場
ドローンを飛ばすには飛行経路の調査や設計が欠かせません。撮影前に調査を行うため、交通費や宿泊費が含まれる場合もあるでしょう。
基本プランに含まれている場合もありますが、オプションとして費用が発生するときは調査にかかった実費を負担することが一般的です。こちらについても個別に問い合わせて明確にしましょう。
4.許可申請の相場
ドローンでの空撮が航空法や条例によって禁止されている場所は、事前に許可申請が必要です。基本的に申請は制作会社が代行してくれますが、基本料金に含まれている場合とオプションとして設定されている場合があります。
自分で申請する場合は申請料金は不要ですが、代行を依頼すると1度の撮影につき、2万円程度の費用が発生します。
参考:航空安全:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法 – 国土交通省
5.撮影延長料金の相場
室内での撮影が延長することは外的影響が少なく、あまりありません。しかし、外での撮影は気象状況や風の影響で時間が伸びてしまうことが多いようです。
その際、延長料金が発生するおそれがあります。事前に契約内容や延長した場合の費用について確認しておくと安心です。
もし、延長料金が発生する場合「どのような条件で、何分ごとに、いくら追加費用が必要となるのか」を問い合わせておきましょう。
ドローン撮影の費用で注意すべき3つのポイント
ドローン撮影の費用で注意すべきポイントには、以下の3つが挙げられます。
- キャンセル料の有無
- 空撮時の保険内容
- 動画編集の依頼可否
事前に「どの項目に費用が発生するのか」や「対応できる内容」を確認しておくことが重要です。ここではそれぞれに分けてドローン撮影の費用で注意すべきポイントを解説しますので、見ていきましょう。
ポイント1.キャンセル料の有無
ドローン空撮は、天候や風の影響によってキャンセル・撮影日を変更することが頻繁にあります。また、撮影の可否は制作会社が判断するため、依頼者が意見することはできません。
そのような場合に撮影を中止した際、キャンセル料が発生するのかを事前に確認しておきましょう。ドローンでの撮影は天候によって大きく左右されるため、最悪の場合は制作中止や納期が遅れるリスクを想定して計画する必要があります。
ポイント2.空撮時の保険内容
空撮時に加入する保険内容には、以下のようなものが挙げられます。
- 対人保険:撮影中に人を怪我させてしまった場合に支払われる
- 対物保険:撮影中にドローンが墜落し、建物などを破損した場合に支払われる
- 二次災害保険:ドローンが公共物にぶつかって火事などの二次災害が発生した場合に支払われる
- プライバシーの侵害:撮影時に映り込んだ人物や建物からプライバシー侵害の訴訟を受けた場合に支払われる
ほとんどの制作会社ではこれらの保険に加入していますが、事前に確認しておくことで安心して撮影や制作に臨めるでしょう。
ポイント3.動画編集の依頼可否
ドローン空撮を依頼する場合、動画編集も請け負ってくれるかを確認しましょう。動画編集は、素材選定からテロップの挿入、効果音の選択など範囲が広い業務です。
また、スキルだけではなく、センスも求められます。自社で編集するスキルやリソースがない場合、編集まで依頼できる制作会社だと安心です。動画編集が基本料金に含まれているのか、追加費用がかかるのかを確認しておきましょう。
ドローン撮影の依頼先は2つ
ドローン撮影の依頼先は、以下の3つが挙げられます。
- 動画制作会社
- 空撮カメラマン
予算や成果物に求めることなどに応じて、最適な依頼先は異なります。ドローン撮影の依頼先を選定するときの参考にしてみてください。ここではそれぞれに分けて依頼先ごとの特徴について解説します。
1.動画制作会社
動画制作会社は、ドローンを使った空撮から編集まですべての工程を依頼できることがメリットです。カメラマンや動画クリエイターなど、各分野のスペシャリストが在籍していることが多く、クオリティが高い動画を納期通りに制作してもらえる可能性が高い依頼先といえます。
一方、特定のジャンルに特化している会社が多いため、事前に制作事例などを確認しておく必要があります。また、納品形態についてもすり合わせておくことで、トラブルを回避することにつながるでしょう。
2.空撮カメラマン
空撮カメラマンは、ドローンを使用した撮影を専門にしているフリーランスや個人です。民間資格を取得している場合が多く、高い操縦・表現スキルを有している人が多いことがメリットといえます。
また、少ない人数で撮影に当たることが多いため、低コストで映像を制作したいときにおすすめです。しかし、編集スキルや制作物の納品方法が明確でないこともあるため、商談を重ねて擦り合わせる必要があります。依頼後も定期的に進捗状況を共有してもらうようにすると安心です。
まとめ
ドローン撮影の費用に関することを解説しました。ドローンを使った映像撮影にはあらゆる工程が必要となるため、基本料金以外にも費用が発生することがあります。
相談や見積もりの時点で「どのような理由で追加費用が発生するのか」や「なぜその金額なのか」など気になる点を質問して明確にしておくことが重要です。依頼する側が積極的に質問することで、費用や成果物に対するトラブルを回避することにつながります。費用が発生するポイントを理解して、思い描いた映像を制作しましょう。